不動産の相続登記の必要書類

相続1

不動産の所有者が死亡すると、その不動産は相続人が相続します。不動産を相続した場合は、不動産の所在地を管轄する(地方)法務局で不動産の相続登記手続きを行い、所有権の登記名義人を相続人に変更することになります。

不動産の相続登記は、不動産登記申請書に様々な添付書類を付けて行います。相続登記のための必要書類について、ご説明します。

不動産登記申請書

不動産の相続登記をする際には、法務局に「不動産登記申請書」を提出する必要があります。不動産登記申請書はA4サイズの用紙を使用して、必要事項をすべて記載して作成します。特殊なOCR様式の用紙などの指定はありませんので、一般的な白紙のコピー用紙を使用できます。

用紙の裏面は使用できませんので、両面印刷したものは不可です。申請書が2枚以上になるときは、各用紙に契印をします。

被相続人の戸籍謄本・除籍謄本

不動産相続登記には、「相続が発生したこと及び相続人を特定するための証明書類」が必要になります。具体的には、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本」です。被相続人の最後の戸籍謄本・除籍謄本には、被相続人が死亡した旨と死亡日が記載されていますので、これにより相続が発生したことを法務局が確認することができます。

また、出生からの戸籍謄本等を添付することで、死亡した人が生涯にもうけた子の氏名や数が分かり、すべての相続人を把握できます。もっとも、厳密には、出生からの戸籍を集めなくても、生殖能力がある年齢からの戸籍が揃えば、法務局は受け付けます。

しかし、生殖可能年齢が何歳であるかについては明確ではありません。12歳以降のものが揃っていれば問題ないケースが多いと考えられますが、法務局や登記官により取り扱いに違いがあり、10歳以降のものを求められることもあります。

特に面倒がなければ出生からのものを揃えて添付したほうが楽ですが、事情により若年時の戸籍の取り寄せが困難な場合は、事前に申請先の法務局に確認するとよいでしょう。戸籍謄本・除籍謄本は、市役所・町村役場に行き、備え付けの申請書に記入して、「被相続人の出生から死亡までのもの」と言えば、その自治体にあるすべての戸籍謄本・除籍謄本を出してくれます。

一生を同じ自治体の中で終えた人の場合、それだけで必要な戸籍謄本等が揃うことが多いでしょう。しかし、被相続人が結婚や離婚を繰り返しながら各地を転々とした人の場合は、まずは死亡時の戸籍のある自治体で取れるだけの戸籍謄本等を取得します。

そして、そこに記載された「従前戸籍」「入籍」「転籍」などの情報をもとに、過去の戸籍がある自治体を把握して、その自治体の市役所・町村役場で同様に取得可能なすべての戸籍謄本等を出してもらいます。そして、そこに記載された情報をもとに、さらに過去の戸籍がある自治体を把握するという要領で、出生時の戸籍謄本まで遡って行くことになります。

遺言書・遺産分割協議書等

不動産相続登記には、誰が不動産を相続したのかが分かる書面の添付が必要になります。具体的には、「遺言書」「遺産分割協議書」「相続放棄申述受理証明書」「相続分の無いことの証明書(特別受益証明書)」等です。遺言により、相続人の中の特定の人が相続することになった場合は遺言書を添付します。

遺産分割協議をして、特定の人が不動産を相続することになった場合は、遺産分割協議書を添付します。相続人の中に家庭裁判所で相続放棄の手続をした人がいる場合は、その人の相続分がないことを証明するため相続放棄申述受理証明書を添付します。

被相続人から生前相続分以上の贈与を受けて相続する相続分が無い人がいる場合は、その人が作成した相続分の無いことの証明書を添付します。遺産分割協議書や相続分の無いことの証明書には「印鑑証明書」を添付します。

この印鑑証明書には「作成後3ヶ月以内」などの制限はありません。遺産分割調停により相続登記を申請する場合は、「遺産分割調停調書」を添付することになります。この場合は、上述した戸籍の謄本等の添付は不要です。

遺産分割調停を行った場合は、家庭裁判所が関与した手続きで、相続の発生や相続人の確認が済んでいるからです。なお、法定相続分での相続の場合は、被相続人の戸籍謄本等を添付すれば、相続が発生したことや相続人の持分が特定できますので、遺産分割協議書等の添付は必要ありません。

例えば、夫が死亡して相続人が妻と子1人であれば、法定相続分は、妻2分の1、子2分の1となり、法定相続分どおりで登記できます。関連リンク>>相続相談|ソレイユ総合ナビ

関連記事:ペットに遺産を相続させられる?

被相続人の住民票の除票

不動産の登記記録には、所有者の住所と氏名が記載されています。戸籍謄本には、本籍地と氏名と生年月日は記載されていますが、住所は記載されていません。法務局は、登記記録上の住所と氏名が一致するかどうかで人物を特定していますので、戸籍謄本だけでは、登記上の所有者と、戸籍に記載された人物が同一人物かの確認ができません。

そこで、被相続人の「住民票の除票」または「戸籍の附票」を添付することになります。なお、被相続人の戸籍に記載されている本籍地が、登記記録上の住所と同じであれば、この書類は必要ありません。

住所証明書

所有権移転登記をする際には、登記名義人となる人の住所を証する情報として、市区町村長が作成した書類を添付する必要があります。具体的には、不動産を相続する人の「住民票の写し」または「戸籍の附票の写し」です。

不動産の登記名義人となる人の住所を確認するためのものですので、遺産分割協議に参加していても、不動産を相続しない相続人の住民票は、添付する必要がありません。

関連記事:遺産相続の際の分配はどのような割合?

固定資産評価証明書

不動産相続登記申請時には、固定資産税評価額をもとに計算した登録免許税を納付する必要があります。

このため、不動産相続登記の際には登録免許税の計算根拠を示すために、「固定資産評価証明書」の提出を求められます。

なお、不動産の所有者には、毎年、自治体から固定資産税納税通知書が送られてきます。この通知書には固定資産税の課税明細書が付いており、固定資産税評価額を確認することができます。法務局によっては、この課税明細書のコピーを添付すれば、固定資産評価証明書の添付は不要な場合があります。

固定資産評価証明書は、不動産相続登記の法律上の添付書類ではなく、便宜的に提出を求められるものですから、法務局によって取り扱いが異なります。事前に申請先の法務局に確認すると良いでしょう。

委任状

不動産の相続登記を、司法書士等に委任して申請する場合は、委任状の添付が必要になります。もちろん、相続人本人が申請する場合には、委任状は必要ありません。不動産の相続登記は、司法書士以外では弁護士に委任することが可能です。

なお、行政書士は、不動産登記の代理人となることはできません。行政書士の中には、不動産相続手続を行うという趣旨の広告をしているところがあります。この場合、行政書士は遺産分割協議書などの添付書類の作成のみ行い、登記申請書の作成や登記申請は司法書士に依頼することになります。