ペットに遺産を相続させられる?

相続5

近年は、人間の子どもの数よりもペットの数の方が多いとされ、我が子のようにペットを可愛がっている飼い主さんも大勢います。万が一自分に何かあったらと思い、ペットに遺産を残したいと考える人もいるでしょう。しかし、ペットに遺産を残すことはできるのでしょうか。

そこで、ペットに遺産を残せるのか、また、残すにはどんな方法があるのかご説明します。

ペットを遺産の受取人には指定できない

日本の現在の法律において、ペットを遺産の受取人に指定することはできません。なぜなら、遺産は「人」にしか相続できないことになっているからです。ペットは法律上「物」として扱われているため、「物」に遺産を残すことはできないという理屈です。

アメリカは、ペットの権利が日本よりも進んでおり、飼い主さんから200万ドルを相続したリッチなペットもいます。もちろん、ペット自身が銀行に行ってお金をおろし、好きなものを購入することはできません。しかし、200万ドルの財産を持つペットは、動物保護団体に保護されるにしても、新しい飼い主さんに飼われるとしても、手厚くケアされることは間違いないでしょう。

日本において、飼い主を無くしたペットの末路は、決して明るいものではありません。運が良ければ家族や知人に引き取られたり、動物保護施設で保護されたりしますが、ほとんどのペットは殺処分されます。自分が死んだあと、ペットが幸せに暮らせるように財産を残したいと考えるのは当たり前のことですよね。

では、「物」として扱われているペットに財産を相続させる方法はあるのでしょうか。

信頼できる人に負担付き遺贈

ペットに遺産を残す方法は2つあり、1つ目の方法はペットの面倒を見るという負担を付け、信頼できる人に遺贈するというものです。まずは、ペットの世話を安心して任せられる人を探します。負担付き遺贈では、人探しの部分が最も重要になるでしょう。

信頼できる人であるのはもちろんのこと、ペットの扱いに慣れている人の方がペットにとっても安心感があります。良く家に遊びに来る友人、家族などが候補にあげられますね。信頼できる人が見つかったら、事前に話をして負担付きで遺産を託したい旨を伝えます。

相手が承諾してくれたら、ペットの世話をし続ける限りは遺産を受け取れるという旨の遺言書を作り、きちんと世話をしてくれているか監視する遺言執行人も指定します。遺言執行人は、遺産相続人がペットの世話をしているか定期的にチェックし、世話を怠っているようならきちんと世話をするように催促してもらい、それでも正さないようなら裁判所に請求して遺言の取り消しを行う役割です。

遺言が取り消された場合、遺産は法定相続に戻ります。また、遺言執行人をつくる場合は、遺産から執行人にもそれなりの報酬が与えられるようにしておくことも忘れないようにしましょう。

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負担付き遺贈のメリットとデメリット

負担付き遺贈は、信頼できる人にペットと遺産を託せるうえ、チェックシステムも整っている安心できる方法です。託された人も、財産をもらったのだからとペットを手厚く扱ってくれるでしょう。しっかり面倒を見てあげようというモチベーションが保てます。

また、きちんとケアしないと遺産も返却しなければなりません。しかし、遺贈を放棄されるとペットの世話も頼めないほか、受取人の財産と遺贈の見分けがつかないため、自己破産や差し押さえされた場合に遺産もなくなってしまう可能性があります。

そのため、誰に託すかが一番大切なポイントとなるのです。

信頼できる人に管理を任せる遺言信託

2つ目の方法は遺言信託で、特定の信託管理人に遺産を託し、ペットの世話をしてくれる人に飼育費を分配してもらうというものです。

負担付き遺贈と同じように、信頼できる人に遺産を託しますが、遺産は信託管理人の個人財産とは別で管理されます。そのため、ペットのためだけに遺産を使ってもらえます。また、遺産を管理する人がペットの世話をしてくれる人に適切な金額を渡しているかチェックする、信託監督人をおくこともできます。

この場合も、信託監督人にも遺産から適切な報酬が支払われるようにしておきましょう。遺言信託のメリットは、信託という形で財産が管理されているため、遺産を託された人とは独立した存在で守られていることです。負担付き遺贈のように、受取人の債務によって遺産が無くなってしまう心配もありません。

しかし、仕組みを理解するのが難しく、受託者やペットの世話をしてくれる人がいなくなった場合に機能するようなシステムを作るなど複雑で、遺言信託の契約を終えるまでには費用がかさみます。

老犬・老猫ホームを利用する

負担付き遺贈と遺言信託は、ペットの世話をしてくれる人に遺産を譲るというものですが、ペットが安心して暮らせる環境を用意してあげる方法としては、老犬・老猫ホームを利用するという手もあります。老犬・老猫ホームは、家庭で面倒をみることができなくなったペットを預かってくれる施設です。

寝たきりの犬や、痴ほう症の犬などが預けられている、ペット版の老人ホームです。入居期間は数か月単位から終身まで選べるので、信頼してペットと遺産を任せられる人がいなければ、自分が死んだ後にペットが入居できるように終身契約をしておくのもよいでしょう。

プロによるケアが受けられるので、安心して任せられます。ペットの大きさによっても異なりますが、老犬・老猫ホームで終身契約をする場合の料金は、100万円前後が相場です。

また、大切なペットを託す場所であるため、必ず自分の足で老犬・老猫ホームに訪れ、どのような施設であるのかチェックしてから決めるようにしましょう。複数の施設を見学し、ベストなところを選ぶのが賢明です。

飼い主としてしておくべきこと

どの方法でペットと遺産を託すとしても、飼い主としてしておくべきことがあります。それは、ペットの情報をわかりやすくまとめておくことです。鑑札はもちろん、通院歴や病歴、予防接種歴、かかりつけの病院などの情報は必要です。

また、食事の回数や好きなペットフードのブランド、好きなもの、嫌いなものも知ってもらう必要があります。散歩の回数やトリミングの頻度など、多頭飼いの場合はそれぞれのペットについて詳細に記すようにしましょう。

飼い方が特殊なペット程、託された方はどのように扱えばよいのかわからないため、細かく書き記しておくことが大切になります。